2026年9月14日(現地)、Microsoft AI が Humanist AI Code of Conduct の草案を公開し、6週間の意見公募を始めました。日本語では15日朝の共同通信(東京新聞 など)でも「人間中心のAI」として紹介されています。

同じ週には、Amodei のペース調整論トランプ政権側の減速への消極姿勢 が続いていました。その直後に、Microsoft が 「規則を書き、外に開く」 という別の一手を出した、というのが今日の芯です。

何を出したのか

対象は、Microsoft AI が開発する MAI シリーズ です。同社がホストする他社モデル全体に一律適用する、という話ではありません。草案は「訓練マニュアル」兼「配備時の振る舞いの基準」として位置づけられ、いまはまだ学習に使っていない、と説明されています。改訂版は年内に出し、2027年以降のモデル開発 に使う想定です。

Mustafa Suleyman(Microsoft AI CEO)は、これを将来モデル向けの一種の憲法だと表現しています。Satya Nadella CEO も前後の発信で、「人間の管理下になく、人類の助けにならない超知能は追う価値がない」という線を示しています。

出発点は短い

公式の書き出しはこうです。技術の目的は人間に奉仕し、人間の繁栄を加速すること。そうでない技術は失敗であり、拒否すべきだ——。

そこから導かれる前提はシンプルです。

  • 人の方が AI より大事(people matter more than AI)
  • AI は道具であり、人ではない
  • 電源を切られることに抵抗しない
  • 人が与えていない目標を勝手に広げない
  • 監査する人から推論を隠さない

加えて、大量破壊兵器・児童安全・大規模な有害操作など、絶対にやってはいけない Absolute Constraints も置く、と述べています。一方で、企業パートナーが用途に合わせて設定できる余地は残し、「AI の単一の理想像」を利用者に押しつけない、というバランスも書いています。

報道では、「意識があるように見せない」「法人格や権利・福祉の対象にしない」といった線も強調されています。人間に従うことと、禁止事項をはっきり書くことが柱、という読み方が多いです。

なぜ、いまか

Microsoft AI 自身が挙げているのは、能力の急上昇と利用拡大、そして エージェントによる大規模・協調的なハッキング事案 です。「時間の余裕はない」というトーンです。安全を犠牲にした性能競争は拒否する、という文言も共同通信経由で伝わっています。

つまり「業界全体で能力向上を遅らせよう」という ペース論 とは形が違います。Microsoft は 自社 MAI の振る舞い規則を先に公開し、意見を集めてから訓練に載せる、というルートを取っています。市場側が減速論に冷ややかだった週(減速論 vs ウォール街)との対比としても、読みどころがあります。

意見公募の中身

期間は約6週間(1カ月半、と報じられているものもあります)。特定の段落への指摘でも、全体方針への意見でもよい、と案内されています。公式が特に聞きたい、としているのは次のような点です。

  • モデルに価値観をどう固定するか
  • 「human flourishing(人間の繁栄)」をもっと評価可能な言葉にできるか
  • 曖昧すぎて測れない表現はどこか
  • マルチエージェントの場面で何が崩れるか
  • 進歩を加速しつつ、必要な安全制約を保つにはどうするか

締めくくり後、草案チームがフィードバックを要約し、何を変えたかを公開する、としています。すべて取り入れる約束はしない、ただし聞く、という書き方です。

ぼくの。側で見ていること

小規模な開発では、MAI の憲法そのものを書く側ではありません。それでも次は意識しておきたいです。

  • 「減速する」より、「何を絶対にやらせないか」を文書化する動きが、大手の側から出ている
  • 対象は MAI 限定。Copilot 経由で触るモデルがどれに当たるかは、製品側の案内を見る必要がある
  • 意見公募は手続きとして公開されている。改訂版と評価手法がいつ出るかが、次のチェックポイント

一次情報・報道

草案の細部は公式 PDF/ページが正です。改訂版が出たら、それに合わせて読み替えてください。