ぼくのいるところ を公開しました。
いちばん短い説明をすると、「いまここにいるよ」を、QRかURLで相手に渡して、1時間で消えるアプリです。会員登録はありません。ずっと追いかける地図でもありません。
正直、位置情報まわりは触るのが少し怖かったです。便利な分、扱いを間違えるとすぐ重くなる。それでも出したのは、メッセージカード のあとに「同じ温度で、場所も渡せたら」と思ったからです。きれいに構想したというより、カードを使ってみて「場所版も欲しいな」が先に来た感じです。
ほしかった場面
待ち合わせで、いちばん困るのはだいたい細かいところです。
「改札の外?」 「どの出口?」 「赤い看板の前にいる」
チャットに地図のスクショを貼ると、あとで見返すと「いつの場所だっけ」となることもある。相手の現在地まで見せ合うと、ちょっと気まずい。長く残る道具に、短い伝言を載せてしまっている感じがありました。自分でも、LINE の地図ピンを貼って「これ古いんじゃない?」と聞き返されたことがあります。
ほしかったのは、共有した瞬間の一点だけを、相手にだけ、短時間見せる道具です。アプリを入れてもらう必要はなく、リンクを開けば地図が出る。写真やひとことがあれば、「どの看板の前か」も伝わりやすい。
メッセージカードが言葉を渡すなら、いるところは場所を渡す。どちらもログイン不要で、期限付きで、履歴を積み上げない。兄弟みたいに並べたかった、というのが本音です。
使い方
流れはこんな感じです。
- place.bokuapp.com を開く
- 「場所を共有する」へ進む
- 現在地を許可する
- 任意で写真やひとことを添える
- 「1時間だけ共有する」を押す
- QRやリンクを相手に渡す
- 相手は地図で場所を見る(距離を出すなら、相手側でも現在地の許可が必要)
作る側の位置は、共有をつくったときにサーバーへ行きます。見る側の位置は、距離の計算にだけ使って、サーバーには上げません。「相手がどこにいるか」は、こちらには残りません。
共有が終わったら、QR画像のコピーや保存もできます。チャットに貼っても、画面を見せても、印刷してもいい。入口さえ渡せれば十分、という割り切りです。
あえて追わない
場所の共有と聞くと、動いている点をずっと見られる地図を想像する人も多いと思います。わざと、そこには行きませんでした。
便利そうではあるんです。でも「見られている感」も一緒に強くなる。家族の安否確認とか、仕事の配車とか、そういう用途には向いていないと思います。今回つくりたかったのは監視じゃなくて、伝言です。「このへんにいるよ」を渡して、用が済んだら消える。それ以上は、このアプリの仕事じゃないな、と思いました。
期限も、メッセージカードとは起点を変えています。カードは開封から1時間。いるところは作成から1時間。文章は、相手が読み始めた瞬間が大事で、場所は共有した瞬間がいちばん大事、という感覚です。古いまま残り続ける地図リンクにはしたくなかった。最初はカードと同じ開封起点にしようかとも思ったんですが、「リンクをまだ開いていないあいだ、古い位置が生き続ける」のがしっくりこなくて、作成起点に寄せました。
最初に決めた「やらないこと」
位置情報は、機能を足す前に線を引いたほうが楽でした。
- 受信者の現在地は端末の中だけで使う。サーバーに送らない
- OGP(SNSに貼ったときのプレビュー)に座標や写真やメッセージを載せない
- 期限が来たら、位置も写真もひとことも消す
URLを知っている人だけが見られる前提ではありますが、「貼っただけで場所が先に漏れる」のは避けたかったです。便利さより先に、残さない・送らないを書いておくと、あとから欲が出にくい。自分への保険でもあります。
写真はスマホのときだけです。その場の景色を1枚添える想定で、アルバムから選ぶ流れよりカメラ寄りにしています。送る前に圧縮して、期限後はサーバーからも消えます。ここは実装中に何度かハマりました。圧縮は動くのにプレビューが出ない、みたいな泥臭いところもあって、結局まわり道も含めて今の形です。
画面まわり
地図は Leaflet と OpenStreetMap です。送った側は「ぼくのいるところ」、見る側は「あなた」。近いとラベルが重なるので、上下や左右に逃がしています。地味ですが、地味なところが気になると使いにくい。
ひとことは任意です。空でも薄いラベルが出て、残り時間が少なくなると色が変わります。「あとどれくらいか」が感覚で分かればいいな、と思って付けました。技術の自慢というより、期限付きの道具としての気配です。
実装は Cloudflare Workers と D1、写真は R2。見た目はメッセージカードと同じ系統の白黒にして、ぼくの。 に並べたときに兄弟に見えるようにしています。
カードとの違いを、自分用に整理すると
似ているところははっきりしています。ログイン不要、専用アプリ不要、渡したあとずっと残さない。
違うのは中身と、時計の起点です。カードは文章で、開封から1時間。いるところは場所で、作成から1時間。UIの流れ(ランディング → 作成 → QR)は揃えてあるので、片方を使った人なら、もう片方もそんなに迷わないはずです。少なくとも自分は、説明しやすい形にしたかった。
いまの気持ち
メッセージカードのあとに出したので、骨格は流用できました。でも位置と地図と写真が入ると、許可ダイアログや文言やプライバシーの説明が一気に増えます。見出しの言い回しも何回か直しました。「ここにいるよ」なのか「ぼくのいるところ」なのか、温度がすぐ変わる。ランディングの一文も、いまの形になるまで何パターンか捨てています。
まだ荒いです。実機での見え方や、写真まわりは使いながら直します。完璧にしてから出そうとすると、たぶん出さないので、まずは置いてみました。自分でも、待ち合わせで使うところから始めます。
よければ ぼくのいるところ を触ってみてください。変なところ、わかりにくいところがあれば、X かお問い合わせから教えてもらえると助かります。